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2024年インドネシアの選挙

インドネシアでは、2024年2月に大統領選挙と議会選挙が実施されます。アジア経済研究所のインドネシア研究者たちは、1999年の民主化以来、毎回の選挙に合わせて共同研究を行い、インドネシアの政治・社会・経済の変化を分析してきました。その研究成果のほとんどはウェブサイトを通じて無償で提供(オープンアクセス)しています。2024年選挙についても、所内研究者5名、外部研究者7名の総勢12名のチームによる研究プロジェクト「岐路に立つインドネシア:ジョコウィ政権の評価と新政権の課題」(2023年4月~2025年3月)を組織し、選挙に関する情報発信を強化するとともに、選挙結果の分析を日本語の単行書にまとめて発表する予定です。

本特集ページでは、2024年選挙に関する最新の研究成果や分析を随時更新していきます。また、これまでに発表した過去の選挙に関する研究成果もまとめて掲載します。インドネシア政治の流れと今回の選挙の背景を多角的かつ立体的に理解することに役立てていただければ幸いです。

まずはここから

2024年のインドネシア選挙をめぐる論考

インドネシアの選挙に関する基礎知識

Q.2024年のインドネシアの選挙に注目する理由は?世界4位の人口大国インドネシアは日本とも強いつながりを持っています。国際的にも「グローバルサウス」の一員として影響力を高めています。今回の選挙で、10年間続いたジョコ・ウィドド政権が幕を閉じます。政権交代によるインドネシアの変化は、世界と日本の政治経済に大きなインパクトを与えます。2024年1月。回答:川村晃一(インドネシア政治研究)。基礎の基礎 2024年インドネシアの選挙。

Q.現ジョコウィ政権の評価は?コロナ禍でうまくマクロ経済を運営したほか、インフラ開発、資源加工産業の育成、経済のデジタル化、グリーン経済への取り組みを進めるなど、安定した経済成長を実現しました。政治の安定も維持しましたが、政府への批判を陰に陽に押さえつけるなど、民主化後の歴史のなかでは転換点になった政権といえます。2024年1月。回答:川村晃一(インドネシア政治研究)。基礎の基礎 2024年インドネシアの選挙。

Q.インドネシア政治の特徴は?インドネシアは、国民のほとんどがイスラーム教徒である一方で、多様な宗教と民族が共存する国です。多様性を尊重しながら民主主義を維持していくことが課題です。また、広大な国土の均衡的な発展を達成する必要があります。今回の選挙では有権者の半数以上が40歳以下で、若い世代の有権者が多いことも特徴です。2024年1月。回答:川村晃一(インドネシア政治研究)。基礎の基礎 2024年インドネシアの選挙。

Q.2024年選挙のポイントは?大統領選の最有力候補は、現国防相のブラボウォ・スビアント氏です。同氏が大統領になったらジョコウィ政権の路線が継承されるでしょう。ポイントは、どの政策がどのように継承されるかです。基本的な経済政策は引き継がれると思いますが、ブラボウォ氏がどういった政権運営をするのかは不明の点も多く、注意深く見守る必要があります。2024年1月。回答:川村晃一(インドネシア政治研究)。基礎の基礎 2024年インドネシアの選挙。

ポスターの左側の人物は、スハルト政権時代の国軍幹部で現国防相、最有力の大統領候補とされるプラボウォ氏。 右側はジョコウィ現大統領の息子で副大統領候補のギブラン氏。有権者の5割を占める若年層からの支持を狙って AIで可愛く加工されたイラストが、ジャカルタのあちこちに掲げられている。

(撮影:水野祐地、2023年11月28日)

2019年のインドネシア選挙をめぐる論考

今回の選挙を理解するためには、前回の選挙結果を知ることも重要です。2019年の大統領選挙・議会選挙に関する論考をまとめた一冊、川村晃一編『2019年インドネシアの選挙――深まる社会の分断とジョコウィの再選――』(アジア経済研究所、2020年)をご紹介します。eBook(EPUB/PDF)を全文無料で提供しています。

本書の第1部では、社会の分断や投票行動の分極化、イスラーム票の動員、ビックデータやAIの活用、ジェンダーの問題など、選挙結果に影響を与えた様々な要因を分析しています。第2部では、ジョコ・ウィドド第1期政権の政治・経済の実績と課題を検証し、第2期政権を展望しています。

試し読み
川村晃一「序章 2019年選挙と第1期ジョコ・ウィドド政権が意味するもの」

序章 2019年選挙と第1期ジョコ・ウィドド政権が意味するもの 1ページ

序章 2019年選挙と第1期ジョコ・ウィドド政権が意味するもの 2ページ

序章 2019年選挙と第1期ジョコ・ウィドド政権が意味するもの 3ページ

序章 2019年選挙と第1期ジョコ・ウィドド政権が意味するもの 4ページ

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同書の編者である川村晃一研究員へのインタビュー記事と動画も掲載しています。

【著者インタビュー】アジ研eBook第1号記念インタビュー(2021年5月)

また、選挙前後の動きを分析した記事は『IDEスクエア』特集「2019年インドネシアの選挙」でもご覧いただけます。所内外の計6名のインドネシア専門家が執筆しました。

こちらの動画もあわせてご視聴ください。2期目ジョコウィ政権の内閣人事について、川村晃一研究員が1分で解説しています。(2019年11月)

2019年以前のインドネシア選挙に関する研究成果

アジア経済研究所では、インドネシアの選挙に関する研究成果をこれまで5冊出版し、現在6冊目(2024年選挙)の準備を進めています。上記の川村晃一編『2019年インドネシアの選挙――深まる社会の分断とジョコウィの再選――』(アジア経済研究所、2020年)にくわえて、以下4冊の研究成果、および雑誌の特集記事をご紹介します。

『アジ研ワールド・トレンド』(2018年に休刊)でも、インドネシア政治に関する特集をたびたび組んでいました。過去の政治・経済情勢を知りたい方はぜひご覧ください。オープンアクセスでご利用いただけます。

アジ研ワールド・トレンド 2015年
アジ研ワールド・トレンド 2008年
アジ研ワールド・トレンド 2005年

(クリックして拡大)

毎年のインドネシアの政治・経済情勢(アジア動向年報)

アジア動向年報』各年版では、1969年~2022年のインドネシアの政治・経済・対外関係に関する動向を分析した論考をすべて無料でご覧いただけます。インドネシアを専門とする研究員が各年の重要な出来事を解説するほか、重要日誌や参考資料(国家機構図、閣僚名簿他)、主要統計情報も掲載しています。

最新版
川村晃一水野祐地2022年のインドネシア G20首脳会議の成功と堅調な経済回復」『アジア動向年報2023全文オープンアクセス(J-STAGE)

また、インドネシアに関する章を10年単位でまとめた『アジア動向年報バンドル版』もご活用いただけます。インドネシアに関する10年分の情報を一冊で読めるため、歴史を振り返るのに大変便利です。あわせて、研究者が10年間の動きをまとめた解説記事(各巻冒頭の6ページ)も参考になります。

アジア動向年報2010 - 2019 : インドネシア編
川村晃一濱田美紀「2010-2019年のインドネシア 新興民主主義・経済大国の光と影」

アジア動向年報2000 - 2009 : インドネシア編
水野祐地濱田美紀「2000-2009年のインドネシア 民主主義体制への移行と経済危機からの回復」

アジア動向年報では、国家機関や法律、人物の日本語訳やカナ表記にも注意を払うなど、現地の社会と言葉を理解している地域研究者にしか書けない分析と情報を提供しています。どうぞご活用ください。

インドネシアに関する資料のレファレンス

アジア経済研究所図書館には、インドネシアを専門とするライブラリアンが在籍しており、レファレンス(資料相談)にも対応しています。レファレンスは、電話またはウェブサイトの問い合わせフォームより受け付けています。また、インドネシアに関する多くの資料を所蔵しており、開館日であればどなたでもご利用いただけます。

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構成:金信遇、監修:川村晃一
作成日(更新日):2024年1月10日